Q&A

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Q1 なぜ遺言が必要なのですか?
A1 昭和初期まで存続していた家制度の廃止により単独相続から共同相続へと変化しました。さらに相続人の権利意識の高まりなどから相続財産を巡り、家族間の争いが起こるようになりました。長きにわたり苦労して築き上げた財産が原因で家族が争うのはとても悲しいことです。司法統計によると裁判所に持ち込まれる相続争いの75%は5000万円以下の財産で争い、さらにそのうち32%は1000万円以下の財産で争っているのです。財産の多寡が原因ではなく心情の問題として争いが生じていると推察できます。遺言は相続トラブルを防ぐ最善の方法であり、家族に安心を遺す思いやりでもあります。

 

Q2 遺言の効力が生じるのはいつからですか?
A2 遺言は、原則として遺言者の死亡時から効力が発生します。(民法985条)停止条件が付されていた場合において条件が遺言者の死亡後に成就したときは、条件が成就した時から遺言の効力が発生します。したがって遺言者の生前には受遺者(財産を受ける人)には何らの法的権利も帰属しません。

 

Q3 遺言は誰でも書けますか?
A3 15歳に達した者は、遺言をすることができる(民法第961条)遺言者は、遺言するときにおいてその能力を有しなければならない(民法第963条)問題が生じるのは遺言者に認知症が疑われるケースですが認知症だからと言って遺言能力が無いとはいえません。また、成年被後見人については成年被後見人が事理を弁識する能力を一時回復した時において遺言をするには、医師二人以上の立会いがなければならない(民法973条)と規定されています。相続開始後の争いを回避するためにも、遺言作成時に遺言者に認知症など判断能力の低下が疑われるようなケースでは医師の診断を受けたうえで、判断能力の有無をきちんと確認するなどして、慎重に遺言を作成することをお勧めします。

 

Q4 一度作成した遺言を取り消すことはできますか?
A4 遺言は作成した後でも遺言者の意思や事情の変化により、新たな遺言を作成することによって前の遺言を撤回したり、書き換えることができます。また、公正証書で作成した遺言を自筆証書遺言により撤回することも可能です。

 

Q5 遺言には何が書けるのですか?
A5 @推定相続人の廃除および廃除の取消
     被相続人に対し、虐待、侮辱、非行等の著しい行為をした推定相続人から相続人の資格を奪うことができます。また相続人が生前にした廃除を取り消すことができます。

 

   A相続分の指定または指定の委託
     相続分が指定できます。また、その指定を誰かに委ねることができます。

 

   B特別受益の持戻の免除
     特別受益(生前贈与)は、相続開始時に相続財産に持ち戻して計算しますが、それを免除することができます。

 

   C遺産分割方法の指定または指定の委託
     財産の配分を指定し、また指定を誰かに委ねることができます。

 

   D遺産分割の禁止
     5年間は遺産分割を禁止することができます。

 

   E共同相続人の担保責任の減免・加重
     取得した相続財産に欠陥があった場合、相続人間で価値の減額分を担保しますがその減免・加重が指定できます。

 

   F遺留分減殺方法の指定
     遺贈の減殺割合について指定することができます。

 

   G遺贈
     第三者(他人)、法人にざいさんを与えることができます。

 

   H寄付行為
     財団法人を設立することができます。

 

   I信託の設定
     信託を設定できます。

 

   J認知
     婚姻外で出できた子をを自分の子とし、親子関係を生じさせることができます。

 

   K未成年後見人の指定
     未成年者に親権者がいない等の場合に未成年者の後見人の指定ができます。

 

   L後見監督人の指定
     未成年者に親権者がいない等の場合に後見監督人を指定することができます。

 

   M遺言執行者の指定・指定の委託
     遺言の内容を実現する手続きを行う遺言執行者を指定すること、又は指定を委託することができます。

 

   N祖先の祭祀主催者の指定
     お墓や仏壇を管理する人の指定ができます。

 

   O生命保険金受取人の指定・変更
     遺言によってこれらを行うこともできます。